片想い卒業します
「まだ目が開いたばかりで、産まれてまだそんなに経ってないみたいだな」
「本当だ。でも、この周りにお母さん猫はいないの?」
「俺も探してみたんだけど、母猫らしき姿はどこにもなかったんだよな」
「そっか、いないのか……」
「俺ん家は子猫なんて飼えないから、どうしようか考えてたところに杉本が来てくれたからさ」
森山君に優しく抱かれていた子猫はミャオミャオと、か細い声で鳴いていた。
「お母さんを探してるのかな?」
「だろうな。でも、このまま放っては置けねぇしな……」
今日は晴れてるけど、明日になったらまた雨が降りだすかも。
雨に打たれたら子猫の命も……。
家の紅葉はメスだし、きっとこの子猫の事を可愛がってくれるはず。
もしも、相性が悪かったら里親に出せばいいんだから。