片想い卒業します

「森山君、私の家でその子猫ちゃんを引き取らせてもらえないかな?」


「え?杉本ん家で?」


「そう。家に紅葉って言うおばあちゃん猫がいるの。彼女なら、この猫ちゃんと仲良くできるかもしれないから。私がちゃんと責任を持つから、お願い」


小さな命を見捨てる訳にはいかない、そんな使命にかられた私は森山君に頼み込んだんだ。


彼の答えは……。


「そこまで言うなら、コイツのことよろしく頼むよ」


「ありがとう!」


「本当は母親のところへ返してやりたいんだけどな。それも無理だしな」


「私、この子、大事にするから」


森山君からそっと子猫を受け取った。


「良かったな、オマエ。いい人に拾われてさ。元気に育てよ」


そう言ってフッと笑った森山君。


その笑顔、初めて見たよ。


森山君ってあんな風に笑うんだ。


彼の意外な一面を見てしまった私は、これまで抱いていた彼のイメージがガラリと変わった。


と同時に別の感情も現れたんだ。

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