フェアリーテイルを夢見てる
でも心の方はもう、立派なレディーに育ちつつあるのです。

まぁ、せっかく出された物なのですからこれはおいしくいただきますけど。

私はリビングダイニングキッチンを横切り廊下へと出て行く巧さんをチロッと目で追ったあと、プレートの上の料理を食し始めました。

しばらくして、身仕度を整えた巧さんが再び姿を現しました。

髭は剃られ、変なアレンジがされていた髪はきちんとセットされ、ワイシャツとズボンを身に着けています。

いつもながらのその凛々しい姿に、私は惚れ惚れとしてしまいました。

巧さんは左手に持っていた上着とネクタイ、右手に持っていた鞄をそれぞれリビングのソファーの背もたれ、床の上に置くと、キッチンへと向かいました。

今度は自分の朝食を用意する為です。

レンジの中の、すでに加熱済みのお料理を取り出してドレッシングをかけ、コーヒーメーカーにセットしていたカップも回収し、それらを必要なカトラリーと共にトレイに乗せます。

そしてそれを手に、ダイニングへと移動し、テーブル前に腰掛けました。

しかしお料理といっても、その食材は適当な大きさにカットされた様々な野菜達です。

朝起きてから準備していたのでは忙しないので、時間がある時にまとめて切ってそれを耐熱容器に入れ、冷蔵庫で保存しておくのです。

つまり巧さんの朝ごはんは温野菜サラダとコーヒーのみ。
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