異常と呼べる愛を孕んで、君に吐き出し、自殺しよう
『もっともっと愛してほしいんだ。ずっとずっと愛しているのだから』
(一)
飢えていた。
端的に言ってしまえば。
何にと問われれば、愛情に。
形がないそれのはずが、俺の中ではぽっかりとした空洞となっている。
幼少期よりずっと、この穴は埋まらない。
埋める(愛される)努力をしていたつもりだった。しかして、未だに空っぽなのは期待した結果を得られていないからだろう。
満たされたことがなかった。
そんな子供でも、時は勝手に過ぎていき、成人した俺は社会で一人、生きていく。
無趣味のつまらない人間。平坦な毎日。
同じことの繰り返しをし、時はまた勝手に過ぎていく。
生命維持に必要なことだけをし、寝ては覚め、仕事をし、また寝てはーーそんな機械仕掛けの日々の中である事が起きた。
発端は、迷子。
昼休憩。弁当を買いにコンビニへ行く最中、親とはぐれ泣き喚く子供を見つけた。俺と同じくコンビニに立ち寄るスーツの男たちが行き交う中、その迷子は泣き続けるも誰一人として、目を合わせようとしなかった。
面倒ごとに巻き込まれたくない。誰かが対応してくれる。昼休憩という貴重な時間を裂きたくない。等々、俺も思いつく限りの理由で誰もその迷子に声をかけることはなかった。
その流れに乗るつもりでいたが、泣いて自己主張をしても相手にされないーーそこにいないかのように扱われる子供を見ていたら、嫌な気分に陥った。
お母さんお母さんと、迷子だからこそそう叫ぶのにーー俺には昔の自分が重なってしまった。
どんなに叫ぼうが、俺は存在しない。
叩かれることもなく、ただひたすらにいない子として扱われてきた俺は、やはり泣くことしか出来ずにいて……
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