クールな次期社長の甘い密約
全く共通点のない二人が、どんな話しをしていたのかが気になり、興味津々で訊ねると倉田さんがちゃぶ台の上にあったアルバムを広げる。
「これですよ」
「あぁ~! これってまさか、私の……」
「そうです。大沢さんのアルバムです」
「ひぃ~なんでこんなモノ……勝手に見ないで下さい!」
あまりの恥ずかしさに血相を変えてアルバムを奪い取ろうとしたが、倉田さんが私の手を押さえニッコリ笑う。
「とても可愛い大沢さんの写真を見せてもらいました」
「か、可愛い?」
「ええ、中でも小学校に入学したばかりの金髪の大沢さんは可愛かったですね」
倉田さんたら、私の事からかっているの?
「やめて下さい……金髪だった頃の事は思い出したくない。私の人生の中で一番最悪な時代です」
「いじめられてたからですか?」
いつもの事だけど、触れられたくない事をズバッと言ってくれる。だから私も彼には遠慮なくなんでも言えるのかな……なんて思いながら頷くと倉田さんが妙な事を言い出した。
「大沢さんがどうしていじめられてたか……その理由を知っていますか?」
「知っていますよ。似合いもしない派手な格好をして浮いていたからです」
私の答えを聞き、二人が顔を見合わせクスリと笑った。
「やはり、知らなかった様ですね。大沢さんがいじめられていたのは、嫌われていたからじゃないのですよ」
「うそ……何も知らない倉田さんに、どうしてそんな事が分かるの?」