クールな次期社長の甘い密約
倉田さんと二人で他の部屋も確認してみたが、どの部屋も同じ状態で、唯一、雨漏りしてなかったのは一番奥の一室だけ。
梅さんの所に行って事情を説明するも、梅さんは眠いのか、面倒くさそうに大あくびをしている。
「悪いねぇ。少しくらいの雨ならどうってことないんだけど、きっとこの大雨と風で屋根がどうにかなっちゃったんだよ。取りあえず、使える部屋があるならそこ使ってよ。そんじゃ、おやすみ」
おやすみって……そんな呑気な事言ってていいの? と心配しつつ、倉田さんと顔を見合わせる。
「仕方ありませんね。無事だった部屋に行きましょう」
悩んだところでどうしようもない。すごすごと一番奥の部屋に戻り、もう一度、中を確認する。
建物は古いけど、意外と綺麗な部屋だ。
「ここは大丈夫ですね。大沢さんは先にシャワーを浴びてきて下さい」
倉田さんは落ち着き払ってそう言うけど、私は部屋の真ん中にデンと鎮座している丸い大きなベットが気になっていた。そして、ベットを照らすこのなんとも艶めかしいピンクの照明。いかにもって感じで身震いする。
着替えを持ってそそくさとバスルームに向かったが、脱衣所は仕切りも何もないオープンな造りになっていて、倉田さんから見えないかとドキドキしながら濡れた服を脱ぎ、急いで浴室に入った。
シャワーの熱いお湯が冷えた体を温めてくれる。やっと一息付き、ホッとした時だった。足の指辺りが何かゴソゴソするので何気なく下を向くと、強烈にデカいムカデが私の足の上を這っていた。
「ギャ~ッ!!!」