クールな次期社長の甘い密約
《茉耶ちん、仕事頑張ってる~? 私、十二時からお昼休みなんだけど、茉耶ちんもそうなら一緒に社食でランチしない?》
あぁ、昨日は約束スッポかしちゃったし、出来れば麗美さんとランチしたい。けど、森山先輩と交代だから勝手に決められないな……
どうしようかと思っていたら、ラッキーな事に先輩の方から先にランチに行っていいよと言ってくれたんだ。おまけに、十二時過ぎると混むから早めにお昼にしていいとの事。
確か、社食は十六階。まだ十二時前だからエレベーターは空いていて、ノンストップで上昇していく。点滅する数字はあっという間に目的の階を表示し、麗美さんにOKの返信をしたのと同時に扉が開いた。
すぐ目の前に社食の入り口が見える。会社の社食ってどんな感じなんだろうと興味津々で硝子のドア越しにソッと中を覗いてみたら……
「えっ? 狭っつ!」
多くの人が働いている大企業だから、さぞかし大きな社食だろうと想像していたのに、予想に反して二十席ほどしかない。
既に数人の男性社員が食事をしているし、混んできたら座る席が無くなっちゃう。
入り口で麗美さんを待っているつもりだったけど、混んでくる前に席を確保しておいた方がいいと思い、意を決して社食のドアを開けた。
すると、確かに狭いけどちょっとしたレストランの様で、クラッシックのBGMまで流れている。そして、室内の中央には大皿に盛られた料理がいくつも並んでいたんだ。
うわぁ~これバイキングだよね? って事は、好きな物を好きなだけ食べていいんだ~さすが津島物産。太っ腹だ!
けれど、喜んだのも束の間、食券を買う所が見当たらない。