クールな次期社長の甘い密約

――月曜日、津島物産 社員食堂


麗美さんとランチをしながら、一昨日の出来事を報告すると彼女はフォークを持つ手を止め目をパチクリさせる。


「パンツとブラまで買ってもらったの?」

「うん……」


専務が接待ゴルフだったら倉田さんと一緒に行ったとは話したが、胸を触られたとか、そっち方面の話しは恥ずかしくて出来なかった。


「ちゃんと、専務にお礼言ったんでしょうね?」

「直接は、まだ……なんか電話しづらくて」


それを聞いた麗美さんが大爆笑。


「だったら一杯引っかけて電話すればいいのに~酔っぱらった茉耶ちん最強だったよ! けど、まさかあの日、専務のマンションに泊まってたとはね……専務を狙ってる女子社員がその事知ったら、茉耶ちん確実にあの世行きだね」

「うん、分かってる」


だから森山先輩にも言えなかったんだ。


「てかさぁ、茉耶ちんも二十二歳にしてやっとロストバージンじゃん! 今日のランチは赤飯にすれば良かったね。で、どうだったの? 専務とのアレは?」


茶化す様に言う麗美さんを上目遣いで見つめ首を振る。が、彼女はなかなか信じてくれない。


「麗美さん言ってたじゃないですか。専務は秘書課に彼女が居るって。専務の部屋にそれらしい痕跡もあったし」

「それは噂で本当のところは分からないよ。でも、あの専務だもの。女の一人や二人居て当然でしょ? 奪っちゃうくらいの意気込みがないと専務の彼女にはなれないよ。専務の事、好きなんでしょ?」

「あ……」


麗美さんにズバリ聞かれて困ってしまった。

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