クールな次期社長の甘い密約

「――この写メね、私なの……」

「えっ? これが……麗美さん?」


一瞬、真に受けて驚いたが、すぐにからかわれているんだと分かった。


だって、彫りが深く顎のラインがシャープな麗美さんとは対照的に、写メの女の子はエラが張った目の細い団子っ鼻。どう見ても別人だ。


「もぉ~冗談はやめて下さいよ~」


笑いながら麗美さんの背中を軽く叩くが、彼女はいつになく真剣な眼差しで私を見つめている。その只ならぬ様子に心臓がドクリと大きな音を立てた。


「……まさか、本当なんですか?」

「うん、これはね、高校生の頃の写メ。私ね、昔はデブでブスだったの。性格も暗くて友達も居なかった。そんなだから、男子だけじゃなく女子からもイジメられて……あの頃はホントに辛かった。当時の事を思い出すと今でも泣きそうになる」


「麗美さんが? そんなの……信じられない。それに、この写メと麗美さんの顔、全然違う」


つい出てしまった戸惑いの言葉。でも麗美さんは「ホントだよ」と浅い笑みを浮かべ、スマホを手に取るとディスプレイを凝視する。


「皆にバカにされて悔しくて、悲しくて……だから努力はしてみたんだよ。メイクしてみたり流行りのファッションを取り入れてみたり。でも、そんな私を友達は全然似合わないって余計バカにした。

その時、決めたの。私を笑った娘達に負けないくらい綺麗になってやるって……だから、全部変えようって」

「変える?」

「そう、整形だよ」

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