クールな次期社長の甘い密約
麗美さんの決断を聞き、どんなリアクションを取っていいのか分からなかった。そして、なぜ彼女がその事を私にカミングアウトしたのか、それも分からなかった。
言葉もないまま数秒間沈黙が続く。すると麗美さんがまるで私の心の中を見透かす様に、その理由を話し出す。
「茉耶ちんを見てるとね、高校時代の自分を思い出すんだよ。だからかなぁ~茉耶ちんの事、放ってほけなくて……でもね、茉耶ちんは私とは違う。元々可愛いから私みたいに変える必要なんてないんだもん。
それならもっと自信を持ってよ! って言いたいの。少なくても茉耶ちんは私より恵まれてるんだから」
「あ……」
その事を伝える為に麗美さんは私に辛い過去の話しをしてくれたの?
「茉耶ちんは私の大切な友達だからさ。もっと自分の気持ちに素直になって欲しいんだよ」
いつもの様に明るく笑う麗美さんを見て、友情がこんなにも温かくて有難いモノなのだという事を知ったんだ。今まで友達らしい友達が居なかった私にとって、それは驚きでしかなかったんだ。
「でもね、結局、外見なんて関係なかったのかもしれない。要は気持ちの持ちようだったのかもね。自信を持った事で引っ込み思案だった私が社交的になったから。
でも、整形した事は後悔してないよ。今でも正しい選択だったと思ってる。だから誰になんて言われたって気にしない」
誇らし気に胸を張る麗美さんの瞳がキラキラと輝いて見えた。
「だからね、茉耶ちんに、私なんか……とか、そんな自分を卑下する様な言葉、使って欲しくないの」