【NEVER】

「俺はこんな奴、認めねーからな!!!」

急に銀髪の子が叫ぶ(いや、 "吠える" の方が近いかもしれない)。

「さっきの話し合いを無にするつもりですか?

貴方も早く自己紹介しなさい。
それとも、私が代わりにしてあげましょうか?」

銀髪の子は舌打ちをした。

「なんで俺が!」

「舌打ち五月蝿いです、次 舌打ちしたらその舌を切りますよ?」

ニコリと笑った黒羽さんの顔。

さっきまでは普通に朗らかな笑顔だったのに今は……怖い、笑顔のはずなのに とにかく怖い。

「分かったよ、すればいいんだろ……」

そう言う前に癖なのか、舌打ちをしてしまう銀髪の子。

「あ、舌打ちしましたね?

亮哉、琥珀を取り押さえて下さい。
私は鋏を用意します。」

金髪の人に羽交い締めにされた銀髪の子。

「待って、分かった、俺が悪かったから!」

「本当にそう思ってます?」

動きを止めた黒羽さん。

「思ってる、思ってるから!」

「今後 そのような態度を壺倉さんに対して取らないと約束しますか?」

「……」

黙り込んだ銀髪の子。

「信用できないので 鋏を用意します。」

「約束する!します!鋏辞めて!」

再び動き始めた黒羽さんに銀髪の子は必死になっている。

「じゃあ、自己紹介しなさい。」

「1年4組、"白石 琥珀"。」

「何か一言。」

「……さっきはごめん。」

「はい、亮哉 離していいですよ。」

解放された琥珀。
両肩をさすっている。……痛かったんだな。

「亮哉もまだだろ?」

陽翔さんに促されて 金髪の人が口を開く。

「 "瀧内 亮哉" 、2年。
テキトーに呼んでくれればいい。」

無口キャラ?
さっきから話していても 全然口を開いていない。

他が喋りすぎなのかもしれないけど。

「あれ?陽翔は?まだじゃない?」

陽向君に指摘されて陽翔さんが口を開く。

「 "古閑 陽翔" 。2年。」

「え?」

と思わず聞き返してしまった。

黒羽さんと亮哉先輩が2年生なのも驚いてはいたんだけど、陽翔さんは5人の中でも特別偉そうだし 3年生なのかと思っていた。

「え?何か可笑しな事でも言ったか?」

「2年、なんですね。」

「あぁ。」

「驚きました。」

「そうか?」

「はい。」

全員の名前を聞いたことだし 、もう顔と名前は一致した。

5人くらい、なんてことはない。
私、人の名前 覚えるの 得意なんだよね。
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