【NEVER】
キーンコーンカーンコーンー
チャイムが鳴って、思い出した。
「そういえば、授業 行かないと。」
「え?今更?」
琥珀にすっごい、怪訝そうな目で睨まれた。
え?学校来たのに授業も受けずに屋上に居座り続けるってのも、アレじゃない?
可笑しな話じゃない?
「壺倉さんは何も間違ったことは言ってませんよ。
そうですね、私も先日 父に出席日数について怒られたばかりですので、午前中は出ることにします。」
凪兎先輩がそう言って、立ち上がった。
「皆さんも、あまりサボり過ぎないようにしてくださいね⁇
私が後から、父にネチネチと言われるので。」
と言い残して屋上から出ていった。
黒羽さんは、お父さんからしっかりしているんだな……
自分の息子が仲良くしている子の出席日数まで気にしている、とか。
「……将喜さんの言うことなら聞いたほうがいいな。」
「うん、また呼び出されて怒られるのは面倒。」
「理事長に逆らうと痛い目見る。」
黒羽さんのお父さんも怖い人?
というか、"理事長" ってどこから出て来た?
「梨那ちゃんも行こうか。」
「あ、ねぇ 理事長って?
何で黒羽さんのお父さんの話で理事長が出てくるの?」
「凪兎のお父さんが この学校の理事長だから。
校長も理事長には頭が上がらないからね、理事長は偉大だよ。」
「おかげで 最低出席日数が三分の一から七分の二になったしな。」
……マジか。凄いな、黒羽さんのお父さん。
「まぁ、昼にまた集まればいい。
俺は 3時間目から教室に行く。今は眠い。」
「なら、俺も3時間目から教室に行こう。」
陽翔さんと亮哉先輩は屋上にとどまるらしい。
「俺も」
「琥珀は教室に行け。新クラス馴染めてないだろ?」
琥珀の言葉を遮った陽翔さん。
そんなにハッキリ言うと琥珀が可哀想じゃない?
「だって、次 体育だし。」
「お前 運動できるんだから 行っとけ。
屋外競技なのか?」
「バレーボール。」
「なら問題ないだろ?行け。」
「でもな……」
「行け、って言ったら 行け。」
「……分かったよ。」
重い腰を上げ、屋上から出ていった琥珀。
「壺倉は?授業受けるんだよな?」
「普通に、授業 受けに行きます。」
だって、授業を受けに学校に来てるんだよ?それに 変にサボったりして先生に目をつけられたりするのも面倒だし、嫌だし。
「なら、陽向も授業 行くんだよな?」
「嫌だけど、さっき そう言ったからね。
行くよ、授業。」
陽向君は立ち上がった。
「じゃあ、行こっか 梨那ちゃん。」
手を差し出されて その手を取る。
「陽翔、絶対に3時間目から授業行くんだよ?」
「分かってる。」
「亮哉も、陽翔に甘くしちゃダメだよ?」
「あぁ。」
2人の返事を聞いてから 私たちは屋上を後にした。