一目惚れ。
彼女は僕の彼女。
「わ、わたしね?」
消え入りそうな声を必死に聞き取る。
「ゆ、夕志クンが言うみたいに真面目なんかじゃないよ…ドジばっかりだし、運動神経悪いし、夕志クンの気持ちだって今気づいたくらいホント鈍感なんだよ?」
「最後のは知ってる」
「全部知ったらもう夕志クンが想ってるような女の子じゃないかもよ?」
「新しい紗代を知るのも嬉しいし、全部好きになる。」
ここで彼女は口を閉じた。
「俺が知らない事教えて?」
彼女はやっと顔を上げた。もう涙は流れてない。
「夕志クンが知らない事教えてあげよっか」
「うん」
「夕志クンもね、すっごく鈍感なんだよ?」
「え?」
「私だってね、今までずっと、ずっとね?」
彼女がすぐ近くに顔を寄せて、耳元で囁いた。
俺が一番聞きたかった、言葉。
「大好きだよ」
【完】
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