一目惚れ。

彼女は渡さない。



「そっかぁ」


そう言いながら彼女に笑みを向ける俺だが、実は内心笑える状況じゃない。


「じゃあ私あっちの方で食べるね。またね夕司クン!」


そう言って彼女が歩き出すと後ろの4人も彼女に付いていく。


さっきの男2人はまだ男を見てる…


俺は笑顔を張り付けていた表情のまま、男共と一瞬だけ視線を交わす。


あいつらは驚いたような焦ったような顔して紗代の後を小走りで追って行った。


絶対零度の微笑みってやつ?


彼女はてめぇらなんかに渡さねぇし。普段あいつに変な目ぇ向けたら承知しねぇぞボケが。


「同じクラスとか羨ましいんだよ。俺も弁当一緒に食いてえな。」


「久遠。そんな嫉妬丸出しな事こと考えてねぇよ」


……ちょっと考えてたけど。



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