一目惚れ。

彼女に…想いを。



彼女が絆創膏を見つけて走りよってくる。


さっきの出来事は忘れよう。うん。


「指見せて…ゎ、結構血出てるね」


うん。


「……よし!これで大丈夫!」


うん。


「夕志クン?」


うんうん。


「夕志クン!」


「うんうん」


「は!?」


「…っは!ごめんボーっとしてた!!」


つい…


アホみたいな俺を見て彼女が笑ってくれただけでよしとしようか。


今日はこれくらいで彼女には帰ってもらった方がいいかもしれない。


俺としても色々ボロがでそうだ…


「紗代。そろそ…」


「ねぇ夕志クン。」


彼女は俺の目を真っ直ぐ見てこう言った。


「好きな人、いる?」


「……ぇぇぇえ!?」


えーーーー!?


今聞く?今それ聞く!?

やばい、もうやめてくれ。


顔が熱いって。


思わず彼女から目をそらした。


「そっそれは…………ぃ、るけど」


我ながら情けない声だったと思う。


「そっかぁ…」


……彼女はこれで微笑んだつもりなのか?


口だけを緩ませた、感情のこもらない笑顔。


【チャンスだし告れば?】


久遠からのメール……


覚悟、決めるか…!?


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