ドストライクの男
「いいですね。男同士の友情って」
小鳥の言葉に「そうだな」と光一郎は素直に頷く。
「ところで、薫の質問に答えているとき、俺のことを考えていただろう」
その通りだったので、小鳥は真っ赤になり下を向く。
「エッ! まさか本当に?」
自分で言っておいて、光一郎は狼狽え、同じく真っ赤になる。
「何これ、凄く嬉しいんだけど」
熱っぽい瞳が小鳥を見つめると、小鳥はさらに赤くなる。
参った、と光一郎は片手で両目を覆う。
「本当、勘弁して、ギリ……アウト。もう限界」
ギュッと小鳥の手を握ると、スッと立ち上がる。
「帰るぞ」
「えっ? あの、まだ食べる物、たくさん残っていますよ」
「腹が減っているなら、ルームサービスを取ってやる」
引きずるように小鳥を店から連れ出すと、5101号室へ舞い戻る。
部屋に入った途端、光一郎は小鳥をドアに押し付け唇を合わせる。
「本当にお前だけだ。ズット待っていた」
深いキスに小鳥は酸欠状態になり力が抜け、ズルズルと体制を崩す。
それに気付いた光一郎は、小鳥を抱き上げ、ベッドルームのドアを開ける。
淡いオレンジ色の照明がボンヤリ部屋の中を照らしている。
キングサイズのベッドが目に入り、我に返った小鳥は慌てる。
「ちょっと待って下さい。いきなりどうしたんですか」
どこで間違ったのだろう。何が彼のスイッチを押したのだろう。
「いきなりじゃない!」
小鳥をベッドに下すと、光一郎がゆっくり近付く。
「待っていた。だから、俺のものになってくれ」
切なさが混じる声に、しだいに小鳥は落ち着いていく。それに反比例するように心臓がドキドキと高鳴ってくる。
「こんな風にされると、ここが苦しくなるの」
小鳥が胸を押える。その手の上に手を重ね、光一郎が言う。
「僕は前からずっとだよ」
熱を帯びた光一郎の唇が小鳥の唇に何度も触れる。
そのたびに小鳥の胸がキュンと締め付けられる。
「……お腹の奥の方が変になる」
「それは俺が好きってことじゃない?」
光一郎の手が小鳥の頬を優しく撫でる、
「これが好きってこと?」
「そう、俺を求めているってこと」