この想いに名前を



「おい。お前、鷺原菜乃花(さぎはらなのか)か?」


突然校門前に立っていた教師らしき男が声をかけてきた。


「あ、はい。そうですけど。」


私は、そう答えた。


そう言えば今更感あるけど私は、鷺原菜乃香って言います。


ほんとに、今更感ありまくりなんだけどね。


「そうか。なんだ?遅れた理由とかあるのか?」


「いや、特にはないですけど?」


「そ、そうか。まぁ、いい。もう入学式は終わったから教室に向え。あそこに、クラス分けの表貼ってあるから。」


そう言って教師は下駄箱の方を指さした。


「あ、はい。分かりました。ありがとうございます。」


私は、そう返し下駄箱の方へ歩みを進めたのだった。


教師の男が


「ありゃあ、これからモテまくるな。と言うか、遅刻の反省は無いのか?まぁ、これからが楽しみだ。」


なんて呟いていたことは知らない。





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