【短編】塩系男子のススメ
「なんで、嘘ついたの?」
「……ごめん。こういうとき、どうすればいいかわかんなくて、嘘ついてた。」
困った顔の栄太くんは、ゆっくりとわたしの手に、その大きな手を重ねた。
俯きがちに目を合わせてくるから、なんだか可愛くてぎゅっと手を握り返した。
「俺、付き合うとか、初めてなんだ。」
栄太くんの手はじんわりと汗ばんでいる。
「抱きしめても、いい?」
赤くなった頰、優しい目で見られちゃったら、もう拒否なんてできない。
わたしはコクリと頷いた。