恋せぬ王子と恋する少女

声がしたほうに雅が振り向く。


「隼人…」


振り向いた方向に立っていたのは、ひかると離れてから雅と付き合った隼人だった。


隼人はひかると雅が話しているのを見て、心配でつい、2人の間に入ってしまった。


「で、2人で何話してたん?」



雅は声が詰まる。


すると、状況に気付いたひかるが


「隼人と雅付き合ってるんだ?」


空気が重たく、辺りがシーンとなる。


「あぁ、だから雅にちょっかい出さねーでくれるか? もう俺のなんだわ」



雅は2人の顔を交互に見ながらどうすればいいのかを迷う。



「雅は俺とひかるどっちがいいんだ。俺とひかるは友達だ。できることならこんな争いはしたくないんだ。決めてくれ。」



真剣な隼人の顔。


雅は軽い気持ちで返事はできないと思った



私が返事をしたら…どっちかを傷つけちゃう…


そんなことを思っていると、


「俺たちのことを気にするな。自分の気持ちで決めろ。」


そう言ったのはひかるだった。


そして、ひかるのその一言で雅は決心した。


後悔しないように、自分の気持ちで返事をしよう、、。


そして雅が、ふとこぼれた涙を拭いながら、2人に返事をした。
< 11 / 13 >

この作品をシェア

pagetop