恋せぬ王子と恋する少女
声がしたほうに雅が振り向く。
「隼人…」
振り向いた方向に立っていたのは、ひかると離れてから雅と付き合った隼人だった。
隼人はひかると雅が話しているのを見て、心配でつい、2人の間に入ってしまった。
「で、2人で何話してたん?」
雅は声が詰まる。
すると、状況に気付いたひかるが
「隼人と雅付き合ってるんだ?」
空気が重たく、辺りがシーンとなる。
「あぁ、だから雅にちょっかい出さねーでくれるか? もう俺のなんだわ」
雅は2人の顔を交互に見ながらどうすればいいのかを迷う。
「雅は俺とひかるどっちがいいんだ。俺とひかるは友達だ。できることならこんな争いはしたくないんだ。決めてくれ。」
真剣な隼人の顔。
雅は軽い気持ちで返事はできないと思った
私が返事をしたら…どっちかを傷つけちゃう…
そんなことを思っていると、
「俺たちのことを気にするな。自分の気持ちで決めろ。」
そう言ったのはひかるだった。
そして、ひかるのその一言で雅は決心した。
後悔しないように、自分の気持ちで返事をしよう、、。
そして雅が、ふとこぼれた涙を拭いながら、2人に返事をした。