恋せぬ王子と恋する少女

雅は意を決してひかるに聞いた。


「ね、ねぇ…ひかるくん……」


ひかるが振り向いて言った、
「なに?俺お前のこと呼んだっけ?」


少し冷たかったけど雅は続けた。



「ひかるくんに…彼女いるってほんと…?」



少し間があいてからひかるが言った。



「いないよ。」



いない。その一言が雅には嬉しかった。
でも続けてひかるが口を開く。


「いない、けど彼女は作らない。」


真剣な顔で言うひかるに雅はもうなにも質問できなかった。ただそれを察したのか、ひかるが理由を言った。



「少し前、丁度お前と出会う少し前までは彼女がいた。ただ病気で死んだ。それだけ。」



それだけ。そう言って平気そうな顔をしてる。でも分かる。ひかるが強がってることはすぐに分かって。


「ご、ごめん…辛いこと思い出させて…」


雅は聞かなければよかったと心から思った



「いいよ、今はお前がいるしな。彼女じゃなくてペットだけどな」



その言葉とひかるの過去を知った雅は、自分がひかるの彼女になるのは不可能なんじゃないかと思った。



そして話が終わると雅はあることを思い出した。


「ひかるくん…!! そういえばね、昨日隼人に告白されたんだけど…」


隼人に告白されたことを言った。
すると、ひかるは…



「そうなんだ、付き合えば?」



正直、雅のなかでは「付き合うな」この言葉を期待していた。


「え、でも…私はひかるくんのペットだし…」


そう雅が言うとひかるは…



「ならさ、俺かアイツどっちにすんの?」



ひかるの突然の質問、なんて答えたらいいかわからない。


「え、えっと…私は……」


「まあいいや、はっきりしないなら今日でペットやめろ。じゃあな。」


そう言ってひかるは教室に入っていった。



そして、その日はそれ以降ひかると会うことも話すとこもなかった。
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