▷僕らは運命共同体◁
ーーーーーーーー
ーーーー
2年D組の教室に入ると、それまで楽しそうな笑い声が響いていた教室がなくなる。
何も言わず、俺は自分の席に座る。
話す友達もいないし…。
ーーキーンコーンカーンコーン~
チャイムがなり終わる前に俺のいるクラスは着席が完了する。
上の階からは、まだギィーっと椅子を引く音と笑い声が微かにする。
ーーカツカツカツ…
廊下に響く担任の足音だって見分けられるようになった。
きっと、それは俺だけじゃないだろう。
「ーーはい、皆さんおはよー。
元気の無い君たちに取っておきの情報ダヨー。
転校生がうちのクラスにやって来たゾ♡」
真顔で語尾に♡付けられても笑えない…。
ーーって、
「ーー転校生??」
クラスメイト1号が放ったその言葉で、教室は俺が居なかった時のように盛り上がる。
「嘘嘘嘘!!!せんせー男?女??」
「見ればわかるんじゃなーい?? (笑笑笑笑)」
何故俺の担任はこうも真顔で感情表現ができるんだろう…。
素直にウザイ。
「はーい、じゃあ加藤さん、入ってきてー。」
ーーガラガララ…
何も言わず入ってきた転校生に皆言葉を失う。
転校生が余りにも可愛いすぎて、教室中の生徒の体が彼女の魅力的なオーラに包まれる。
脳みそは痙攣を起こし、顎が外れかかっているやつも数人いる。
「初めまして、加藤晴香です。14歳までアメリカで過ごしていましたが、母が日本人とアメリカ人のハーフなので、日本語はこの通り話せます。ご迷惑をかけるかも知れませんが宜しくお願いします。」
「ーーう、うほ。」
いやいやいや、誰か知らんが、彼女のオーラから受けた麻痺で人語をわすれかけているんじゃないか?
うほって、猿かい。
ーーピキッ
「「「ーーーっうぉぉぉおおおおっしゃゃああああ!!!」」」
ーーと、まるで呪いが解けたかのように一斉に声を上げる男達。
「金髪美少女キターーーーっ!!」
「青いつぶらな瞳キターーーーっ!!」
教室は歓喜に包まれる。
女子は内心嫌な気持ちの奴もいたかもしれないが、誰もそれが顔に出ているやつはいない。
…けど、俺が言うのもなんだけど、本当に、うん。可愛い…。
ーーパチッ
「ーーっ!」
目が合った気がした。
ーーが、気のせいだろうか…。
「…じゃあ、席は……、空いてるとこ座っていいよー♡(笑笑)」
なんて無責任な担任だ。
それじゃ何処からともなくお誘いをうけてしまうだろうが。