天に降る雪
上杉咲良
私は上杉咲良。二日前に死んだ。
私の体にはウェディングドレスが着せられ、綺麗に化粧をしてくれてちょうどぴったりの棺に納められた。
コソコソ話が聞こえてくる。
「咲良ちゃんたら、どうして自殺なんて。あんなに幸せそうだったのに。」
「新婚さんだったんでしょ。お子さんもまだだったみたいね。旦那さんも可愛そう、お若いのに。」
「最後のお別れです。」
と葬儀屋さんが言うと先程までコソコソ話していた女達までみんな泣き出し、花を私の顔の横に置いていった。
私がこうなってから、ずっと私の横にいてお辞儀をしている切れ長の目のイケメンくんがいた。彼の胸には白い大きな花が飾られていた。年の頃は二十代前半かな。
ぐっと唇を噛んだ、その瞳は泣いていた。
そして私の右手を強引に取って何かを握らせた。
蓋がされ真っ暗闇がしばらく続いた。
この後の記憶はハッキリしないのだがたぶん私の体は、そのまま焼かれた。熱かった。痛かった。
私はもう死にたい。早くこの世からいなくなりたい。
なのに、何故まだここにいるのだろう。
上杉咲良は幸せだった。正確には、周りから見たらそうみえた。
高校生の時からずっと付き合っていた彼と結婚してもう一年。
高校教師のお仕事をしている旦那様は、毎日早くに家を出る。
「行ってきますのキスは?」
チュッと軽く頬を重ね照れながら捨てゼリフのように言う
「これでいいだろ!行ってきます!」
これが毎朝の日課だった。
私と彼が出会ったのは、もう8年も前のこと高校一年生の入学式からずっと同級生で同じクラスでいつの間にかお互い惹かれ付き合って大学も一緒に行って卒業とともに妊娠そのまま結婚して今の何気無い幸せな毎日を送っている。
最近の私の悩みはたまに記憶が飛んでしまうことだ。最近は学生時代に描いていた絵を暇潰しの趣味で始めたのだがいつに間にか寝てしまい夜になっていたり、何描こうかと悩んで白紙だったはずなのに目の前で全部ピンク色に塗られていたり、今日はその上に青い色が重ねられていた。
「なにをやっているんだろう。私…。」
まったく覚えがないのだ。
そこへいつも彼が帰ってくる大好きな祐輔くん。
ピンポーン。玄関のチャイムがなる。
私はずっとこの時間を待っている。
「お帰りなさい。祐輔くん。」
「ただいま。咲良。」
いや、違う…。私は彼を待ってなどいない。
私は、死にたいのだ。そうだ思い出した。私は、私の赤ちゃんは階段から落ちたあの時に天国へいってしまったのだ。それからもう医者は子供はのぞめないだろうと私に言った。
「だから私も一緒にいかないといけないよね。ママが一緒に天国へ付いていければよかったのに。」
私に翼があったら私の赤ちゃんと一緒に天国へ逝けただろうに。そんなことをいつも考えていた。
でも、あの日、天国へ向かって飛ぶことが出来た。
あの日以来、私は死んだのに赤ちゃんのもとへも逝けず、どこへも行けないでいる。死んだのに死ぬこともできず、ずっとさ迷って痛くて苦しい思いを何度も何度も繰り返しているのだ。
何故、何故?と考えたが答えは簡単だった。
自殺したから…。
私の体にはウェディングドレスが着せられ、綺麗に化粧をしてくれてちょうどぴったりの棺に納められた。
コソコソ話が聞こえてくる。
「咲良ちゃんたら、どうして自殺なんて。あんなに幸せそうだったのに。」
「新婚さんだったんでしょ。お子さんもまだだったみたいね。旦那さんも可愛そう、お若いのに。」
「最後のお別れです。」
と葬儀屋さんが言うと先程までコソコソ話していた女達までみんな泣き出し、花を私の顔の横に置いていった。
私がこうなってから、ずっと私の横にいてお辞儀をしている切れ長の目のイケメンくんがいた。彼の胸には白い大きな花が飾られていた。年の頃は二十代前半かな。
ぐっと唇を噛んだ、その瞳は泣いていた。
そして私の右手を強引に取って何かを握らせた。
蓋がされ真っ暗闇がしばらく続いた。
この後の記憶はハッキリしないのだがたぶん私の体は、そのまま焼かれた。熱かった。痛かった。
私はもう死にたい。早くこの世からいなくなりたい。
なのに、何故まだここにいるのだろう。
上杉咲良は幸せだった。正確には、周りから見たらそうみえた。
高校生の時からずっと付き合っていた彼と結婚してもう一年。
高校教師のお仕事をしている旦那様は、毎日早くに家を出る。
「行ってきますのキスは?」
チュッと軽く頬を重ね照れながら捨てゼリフのように言う
「これでいいだろ!行ってきます!」
これが毎朝の日課だった。
私と彼が出会ったのは、もう8年も前のこと高校一年生の入学式からずっと同級生で同じクラスでいつの間にかお互い惹かれ付き合って大学も一緒に行って卒業とともに妊娠そのまま結婚して今の何気無い幸せな毎日を送っている。
最近の私の悩みはたまに記憶が飛んでしまうことだ。最近は学生時代に描いていた絵を暇潰しの趣味で始めたのだがいつに間にか寝てしまい夜になっていたり、何描こうかと悩んで白紙だったはずなのに目の前で全部ピンク色に塗られていたり、今日はその上に青い色が重ねられていた。
「なにをやっているんだろう。私…。」
まったく覚えがないのだ。
そこへいつも彼が帰ってくる大好きな祐輔くん。
ピンポーン。玄関のチャイムがなる。
私はずっとこの時間を待っている。
「お帰りなさい。祐輔くん。」
「ただいま。咲良。」
いや、違う…。私は彼を待ってなどいない。
私は、死にたいのだ。そうだ思い出した。私は、私の赤ちゃんは階段から落ちたあの時に天国へいってしまったのだ。それからもう医者は子供はのぞめないだろうと私に言った。
「だから私も一緒にいかないといけないよね。ママが一緒に天国へ付いていければよかったのに。」
私に翼があったら私の赤ちゃんと一緒に天国へ逝けただろうに。そんなことをいつも考えていた。
でも、あの日、天国へ向かって飛ぶことが出来た。
あの日以来、私は死んだのに赤ちゃんのもとへも逝けず、どこへも行けないでいる。死んだのに死ぬこともできず、ずっとさ迷って痛くて苦しい思いを何度も何度も繰り返しているのだ。
何故、何故?と考えたが答えは簡単だった。
自殺したから…。