カラフルな日常
本棚
1つ屋根の下。
男と女が1人ずつ。
机の上にはさっきまでアルコールの入った液体で満たされていたグラスが、空になって置かれている。
その隣では食べかけのお菓子が湿気っていくのを抵抗せずに待っている。
女は無防備にも寝ている。
男は起きている。
意識は少しはっきりしない。
男の意識の中でよからぬ思いがよぎる。
襲ってしまおうか。
今ならきっと、相手もよくわからないままに応じてくれるだろう。
そもそも、1つ屋根の下。
2人とももう大人で、お酒も入ってる。
ここで女を抱かなければ男が廃る。
獣のささやきは男の背中を押す。
女の近くに寄る。
目と鼻の先に女の紅い唇と谷間が見える。
男の中にいる獣は獲物を捕らえる。
continue.