カラフルな日常
時は同じくして。
1つ屋根の下。
男と女が1人ずつ。
男の提案したゲームにより、アルコールの入った液体は急激に量を減らし、2人の意識は少しはっきりしなくなっていった。
女はいつの間にか意識を失い、規則正しい寝息を立てている。
男の中の獣が声をかける。
襲っちまえ。
今ならいける。
こいつもその気があるさ。
仮になくても覚えないさ。
2人きりになった時、それをずっと期待してたんだろ?
男は女の紅い唇と覗き込む谷間に目がいく。
女の無防備な顔を捉える。
可愛い寝顔してるな、こいつ。
それはとても純粋な顔をしていた。
男は純粋で今まで見たことない顔を見た。
こいつの純粋な顔も濁った顔も醜い顔も恍惚とした顔も全て見たい。
そう願った男の心に獣の声は届かなくなった。
突然、女の所有する四角い箱が光る。
あっち行かなければよかった。
まだいる?
行ってもいい?
画面を見た男は女を起こす。
起きた女は画面を見た後、画面に向かって話し始めた。
箱から流れる音は啜り泣く声だった。
continue.