君が嫌いな君が好き
近くのカフェでお昼ご飯を食べると、また会社に戻った。

「こちらでお待ちしております」

「ありがとうございます」

応接間に案内されると、事務の女の子にお礼を言った。

彼女が去って行ったのを確認すると、コンコンとドアをたたいた。

「はい、どうぞ」

中から声が聞こえた。

…何かどこかで聞いたことがあるような声だな。

気のせいだろうと思いながら、
「失礼します」

私は声をかけると、ドアを開けた。

ソファーに座っていた当人がこちらの方へと視線を向けてきた。

その顔を見た瞬間、私は絶句した。

「初めまして…と言いたいところだけど、会うのは2回目ですね」

彼はそう言って口角をあげた。
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