君が嫌いな君が好き
「そうですけど…」

私がそう答えたら、
「マジかよ…」

久米はあちゃーと呟いて手を顔に当てた。

あっ、結構キレイな手をしてるな。

華奢なその指先は普段から手入れしているのかと思うくらいに爪がキレイに切りそろえられていた。

白身魚を連想させる手の甲をじっと見ていたら、
「今あんたが挙げたそのゲーム、全部やったことがあるゲームだったんだよ」

久米が言った。

「ありがとうございます」

お礼を言った私に、
「ああ、そうだ。

仕事の依頼をするために会っているんだった」

久米が思い出したと言うように言った。

「ああ、はい…」

私も思い出した。

そもそも、こいつとは仕事で会っているんじゃないか。
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