君が嫌いな君が好き
今日はカフェでの打ち合わせだけだったはずなのに、気がつけば遊園地で遊んでいた…と言う状況である。

すっかり日も暮れて、園内はキラキラとイルミネーションが輝き始めていた。

「後1時間くらいで閉まるね」

腕時計で時間の確認をした久米が言った。

「もうそんな時間なんだ…」

時間が経つのはあっと言う間だ。

いろいろな乗り物に乗ったり、園内を歩き回ったり、お腹が空いたら園内のレストランに入って食事をとったりしていたら、気がつけば閉園時間まで後少しである。

それに、もう終わっちゃうんだな。

チラリと、私は繋がれている手に視線を向けた。

食事の時はさすがに手を離したけれど、それ以外はずっと手を繋いでいた。

「何か乗りたいのない?」

そう聞いてきた久米に私は園内を見回した。
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