君が嫌いな君が好き
王子様は現れない
講義と言う名のデートから1週間が経った。

久米との仕事は特に滞りなく――彼から多少のダメ出しを受けることはあるけれど――順調に進んでいる。

後少しで完成かな。

「梅乃さーん」

その声に視線を向けると、新婚旅行から帰ってきたばかりのエミちゃんがいた。

私に旅行みやげを渡したいと言う彼女とカフェで待ちあわせていたことを思い出した。

少しだけ日焼けをしているエミちゃんの顔はとても幸せそうだ。

「お久しぶりですー」

「うん、久しぶり」

エミちゃんが私の向かい側の席に腰を下ろした。

「はい、おみやげです」

「わーっ、ありがとうー」

エミちゃんから差し出された紙袋を受け取ると、隣の椅子に置いた。
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