君が嫌いな君が好き
物語と言うものは常に平等だ。

美人な子やかわいい子にはもちろんのこと、平凡な子にもデブにもブスにも必ず王子様が現れる。

性格がいい子はもちろんのこと、悪い子にだって必ず王子様が現れる。

みんなに王子様が現れて、最後はハッピーエンドを迎えるのだ。

なのに、現実と言うものは残酷だ。

王子様が現れるのは美人とかわいい子ばかりで、それ以外の子には現れない。

蔑まれて、時にはいじめられて、バカにされるのだ。

「――私は一体、何だったんだ…?」

異性から名前を呼ばれたことが初めてだった。

講義とは言えどデートをして、手を繋いだことが初めてだった。

でも…久米からして見たら、それは独身最後の思い出作りにしか過ぎなかったんだろうな。
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