君が嫌いな君が好き
それとも、酔っ払って愚だを巻いていた私に同情してつきあっていたとか?

いや、それはないな。

あいつのことだ、きっと私のことをバカにしていたに違いない。

「もう何なのよ!」

虚しさを感じて叫んだら、周りにいた人が何事かと言うように私に視線を向けてきた。

「私だって幸せになりたいのに!」

いつかのように大きな声で叫んでも、気持ちは晴れなかった。

相手がいないのに叫んだって、虚しさが増えるだけだ。

「もうヤだ…!

いつまでこの立場でいなきゃいけないのよ…!」

久米が結婚することを黙っていたことが許せなかったのか何も知らなかった私がバカだったのかは、自分でもよくわからない。

何が何だかもうよくわからなくて、私の目から涙がこぼれ落ちた。
< 51 / 65 >

この作品をシェア

pagetop