君が嫌いな君が好き
「もうヤだよ…」

グスグスと泣きながら、この場から立ち去った。

王子様は現れない。

物語の中のヒロインのように、私は幸せになれない。

いつも私は中立の立場で、橋渡し的な存在だ。

これが“恋愛の女神”だ“敏腕乙女ゲームプランナー”だなんて本当に笑える。

そんな風に評されても、絶対に欲しいものは手に入らない。

好きになった人はいつも必ずと言っていいほど他の人を好きになった。

それが友達や後輩だったり、場合によっては2人の姉や弟だったりと、もう考えたくないくらいだ。

「――何で私には、王子様が現れないんだろう…?」

前世で人を殺したとかいじめたとか、何か悪いことをやったって言うの?

その償いとして、私は橋渡しのようなことをやっているの?

もう全然わからないよ…。
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