君が嫌いな君が好き
しまった…。

勢いに任せてしまったとは言え、言ってしまった。

「はっ?」

久米の驚いた様子が背中越しにわかった。

「それ、何で知っているんだよ…?」

そうですよね、そうなりますよね。

自分しか知らないことを私が知っていたら、そうなりますよね。

「と言うか、何を勘違いしているんだ?

俺、結婚しないぞ」

「えっ!?」

その言葉に、私は驚いて彼の方を見た。

「あっ、こっち見てくれた」

そう言った久米にツッコミを入れている場合ではない。

「結婚しないって…?」

それは一体、どう言うことなんですか?

財閥のご令嬢と結婚するんじゃないんですか?

話が見えなさ過ぎて、何が起こっているのかすらもわからなくなってきた…。
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