諦めた夢を古本屋『松岡』が叶えます
ふたりがそう言いながら、戸が閉まっていた居間に入ってきた。
松岡さんは聞こえたのか、なんもないよと言い、ビールやつまみを袋から出していた。
私はこの日は、最高に楽しかった。
現実を忘れるくらいに。
コバさんの下手な歌。
みんなは、耳を塞ぎながらビ―ルを呑み続けていた。
すると、くるみさんは酔っ払ってきたのか、私のパンツを見ろ―と言いズボンを脱ぎ始めた。
幸い松岡さんが止めてくれた。
コバさんは脱げ脱げと笑っていた。
安らぐ居場所なんてないと思っていた。
でもここは、本当に私の居場所になったんだと思えた。
楽しそうな雰囲気の中、松岡さんは皆と離れひとりビールを呑んでいた。
松岡さんの様子がいつもと違う感じがして、気になってしょうがなかった。