諦めた夢を古本屋『松岡』が叶えます
私は涙を拭ってから上目遣いで松岡さんを見た。
私の頭を撫でていた彼の手が急に止まった。
「……はあ、その顔をやめてよ。俺が苦しくなるから」
「え? どういうことですか?」
彼は、両手で顔を隠していた。
私はなんのことかさっぱりわからないので、はてなマークが頭の中を遡っていた。
「……なんでもないよ。それよりも陽琉の気持ちは決まった?」
ゴホンと咳払いをして、彼は私の気持ちを見透かしているように言ってきた。
「はい、決まりました。なんかお騒がせして申し訳ありません!」
「いいんだよ、人間はみんな助けあいながら生きているんだからね」
そう言ってから、彼は私に最高の笑顔で笑いかけてきた。