諦めた夢を古本屋『松岡』が叶えます
「ひよっち。どうしたの、かたまって」
「陽和。私たちのこと聞いてる?」
松岡さんは頬を赤らめていた。
まずい。
彼女達に私と彼が何かをしたに違いないと感づかれるかもしれない。
「……ひよっち。腹減ってんのか?」
私が予想もしていなかったことをコバさんは心配そうに彼に聞いてきた。
その表情に、私は笑いがこぼれ落ちそうだった。
「陽和。腹減っているの。うん? なんか違くない? あんたがそんなこと言うからじゃないの」
コバさんの言った言葉にくるみさんは反応したが、彼を見てなんか違うと思ったのか反論していた。
「はあ? 絶対ひよっち腹減っているって」
彼女の言葉を認めないコバさんは否定し続けていた。
話が噛み合わないコバさんとくるみさんはまた言い争いを始めた。
松岡さんは、終始黙り込んでいた。
コバさんとくるみさんの言い争いは、一つのおやつを争っているかのような喧嘩だった。
「あははは。お前らやっぱ最高だわ。ありがとう」