諦めた夢を古本屋『松岡』が叶えます
「ビ―ルはあるよ」
彼女は、よっしゃ―とガッツポ―ズをした。
コバさんは、ビールあるの―と言いながら奥の部屋に忍び足で行こうとしていた。
それを見たくるみさんは、私のビ―ルだ―、渡さない―と言い、ビールを巡ってダッシュで居間に入っていた。
「陽琉、みんなで一緒に食べよう! 今日はありがとう。来てくれて」
松岡さんはいつも以上に優しく笑顔で微笑んだ。
「はい」
私は返事をして、私が思う優しい笑顔を松岡さんにした。
「遅いよ―! 早くきて―」
「はい―行くよ」
コバさんに返事をして、彼は駆け足で向かった。
私たちは、前よりも清々しい気持ちだった。
ズボンのポケットの中を、手で突っ込んで見ると、ティッシュが入っていた。
行く前に入れたティッシュは、華やかな色に見えた。
ティッシュが水に染みわたるかのように色は変化していき、心に潜んでいる不安な色は消えなかった。
誰しも笑顔であったが、不安な色は胸の中に閉まっていた。
まだまだ歩む道はある。
それは、私たちの夢を叶えるその先だ。