諦めた夢を古本屋『松岡』が叶えます
……私の名前が、いい名前?
いや、そんなことない。
私自身この名前は、恥ずかしくてたまらない。
私が知っている限りではこの名前の由来は、特にない。
知っているのは、父親が適当に付けた名前だ。
だから、友達に私の名前の由来を聞かれた時はなんと言えばいいか分からないのだ。
……松岡さんの名前は、私にとって羨ましい。
本当にそのまま。
松岡さんらしい名前。
女性っぽいけど、男性っぽい名前。
ほんわかとしているけど、意外にしっかりしている。
名前通りではないか、由来はよく分からないが、本当にそのままだ。
「……いや、そんなことないですよ。私なんて、陽流ですよ。嫌ですよ」
「え? 別に良くない? 陽琉って陽に琉でしょ。太陽が照らされている感じがしない?」
「え? そんな風に考えたことなかったです」
そんなこと言われたのは初めてだ。
「……そうなのか。本当に俺はいいと思うよ。その名前」