ブロックノイズ
___14時間前……
ジャッ!ジャッ!という音とともに、眩しい光が目蓋越しに夏希の眼球を鋭くえぐる。
腕ですぐさま日光を遮断した夏希を見た母、楓が窓を全開にすると同時に冷気を帯びる微風が流れ込み肌をサワサワと刺激する。
「んー……わーったわーった」
力なく苛立ちのこもった声を上げ、薄目で日光を慣らしゆらりゆらりと起こした背中を右の壁に預ける。
朝と寒さに弱い夏希のいつも通りツラい目覚めとなった。
「既に1時間オーバーしてるんですけどねぇ、まぁいいわ40秒で支度しな」
「…へい」
リビングに顔を出した夏希は、テレビ台に飾られた家族写真を眺める。
「もう8年かぁ」
「8年ねぇ…早いわね」
夏希が7才の頃当時13歳だった兄託望(たくみ)は突如失踪した。
兄とは特別仲が良かったわけではないが、あの時の、表情が消えた母との生活は重苦しいものだった。
床に泣き崩れ、幼い俺を強く抱きしめた母の姿を今でも鮮明に覚えている。
テレビを付けると行方不明の50代男性を保護したとの報道があった。
「いきなり帰ってこねぇかなー、兄ちゃん」
8年の月日が経ってもまだ心のどこかで兄の無事を祈ってる自分がいる。
「お父さんと同じところで楽しくやってるわよきっと」
つまり兄は死んだ。そう母は言いたいんだろう。
「父さんってなんで死んだの?」
「……信号無視のトラックに轢かれて」
テレビに顔を向けたまま静かに答える。
ジャッ!ジャッ!という音とともに、眩しい光が目蓋越しに夏希の眼球を鋭くえぐる。
腕ですぐさま日光を遮断した夏希を見た母、楓が窓を全開にすると同時に冷気を帯びる微風が流れ込み肌をサワサワと刺激する。
「んー……わーったわーった」
力なく苛立ちのこもった声を上げ、薄目で日光を慣らしゆらりゆらりと起こした背中を右の壁に預ける。
朝と寒さに弱い夏希のいつも通りツラい目覚めとなった。
「既に1時間オーバーしてるんですけどねぇ、まぁいいわ40秒で支度しな」
「…へい」
リビングに顔を出した夏希は、テレビ台に飾られた家族写真を眺める。
「もう8年かぁ」
「8年ねぇ…早いわね」
夏希が7才の頃当時13歳だった兄託望(たくみ)は突如失踪した。
兄とは特別仲が良かったわけではないが、あの時の、表情が消えた母との生活は重苦しいものだった。
床に泣き崩れ、幼い俺を強く抱きしめた母の姿を今でも鮮明に覚えている。
テレビを付けると行方不明の50代男性を保護したとの報道があった。
「いきなり帰ってこねぇかなー、兄ちゃん」
8年の月日が経ってもまだ心のどこかで兄の無事を祈ってる自分がいる。
「お父さんと同じところで楽しくやってるわよきっと」
つまり兄は死んだ。そう母は言いたいんだろう。
「父さんってなんで死んだの?」
「……信号無視のトラックに轢かれて」
テレビに顔を向けたまま静かに答える。