ブロックノイズ
「10代神隠しってスゲーな、10代滅ぶじゃん」

「最近あんまり聞かないけどね」

マグカップを下唇に乗せ、こもった声でつぶやく夏希に。

「兄ちゃんもそれだったら怖いな」

「遅刻するわよー」

ニュースの内容に夢中になっていた夏希は、母の言葉で左の腕時計に目をやり焦ったようにカバンを持ち上げ玄関へと急ぐ。

「あ、ちょっと待って」

靴を履く夏希の背後に楓は近づき、握った拳を夏希の顔の右に突き出した。

「ん?」

「ちょうど今日は夏希の誕生日だから、プレゼント」

「そうだった、ちょうど今日は俺のちょうど15歳の誕生日だった」

「ちょうどちょうどうるさいわね」

「いや母さんがスタートだろ」

「はいはい母の想いを受け取りなさい」

握られた拳からストンと夏希の掌に落ちたのは口を無限のマークに結ばれた長方形の一般的な赤い御守り。
縫い目や結び方を見ると、どうやら手作りのようだった。
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