ブロックノイズ
「どうよ、手作りでそのクオリティ」

「うん、ありがと」

母お手製の御守りをまじまじと眺める夏希は素っ気なく感謝を伝えた。

「普通なら中には線路の小石とかを入れるらしいんだけど、そんなの無いから違うもの入れた」

「へー、なら学業には無効だね」

「ちなみに“ソレ”には「帰るべき場所」って意味があるんだって」

「…どこの事だろ」

「いやどう考えてもここでしょうが」

なぜかキョトンとした顔で疑問を抱く夏希に思わず

「ろくに荒波にも揉まれたことない人間がよく言うわ」

「荒波はしっかり避ける、そんな冷静な判断力をもっております」

「ドヤ顔で言うことじゃないわよ」

「学生のうちは許して」

軽くため息を吐いて、楓は続ける。

「今日はビーフストロガノフだから早く帰ってくるように。あんた去年は友達と遊んでて遅くに帰ってきたんだから、今回もまた寄り道とかしたらぶっ飛ばすよ」

「いや怖いなその言い方、そのうちビーフストロガノフに母さんの怨念溜まるよ」

「あんたの肋骨をロウソクにしてケーキに刺すのもいいかもね」

「何それ、魔界式の誕生日ケーキ?誰もそんな気持ち悪いもん求めてねーよ」

「バカね、単なる趣味よ」

「なおさら気持ち悪いわ!」

「それはそうと、もう時間ヤバいんじゃないの?」

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