年下のあの人
さよなら。
.........................................................................今日は、卒業式。
もう、あえなくなる。いいんだ…。これで。
あの人にとっては迷惑だから…。
とぼとぼと歩く学校の帰り道。もう2度と通ることのない中学校の帰り道。
『…てよ。…か!』
あの人の声だ。なんて言ってるんだろう。

『待てよ!はるか!』
えっ。私の名前。夢だよね。
私は、自分のほっぺをつねる。
痛い…
夢じゃない。だとしたらなんで?

『どうしたの?もう、りくとくんは私と関わりたくないんでしょ?』
思わず、冷たく言ってしまう。

『関係あるよ!高校、どこ行くの?俺もそこ行く。ずっと、お前が好きだった。他の子と付き合えば、お前を忘れられると思った。でも、無理だった。だから、お前に嫌われようとした。でも……』

『でも、なに?』

『お前、まだ俺のこと好きだろ?』

『えっ、なんで知って…』

『わかるよ。お前のこと、ずっと見てたもん。』

『…っ。うぇーんっ。ばかぁ。りくとのばかぁ。片思い辛かったよ。付き合ってても1度も会えなかったし。』

『お前は今日からまた俺の彼女な?俺が高校卒業したらお前と結婚する。今度は絶対離さない。』

『もう、2度と離れたくないよ。』

『はるか、大好きだよ。』

『私も。りくと大好き!』

りくとの約束どおり、私たちは3年後に結婚した。
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