溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛
戸が閉められ、全身から一気に力が抜ける。
歩き出すと同時に京介さんが私の手を握った。
「ごめん、気を悪くしたよね」
首を横に振る。
京介さんは、日本でも屈指の高級ホテルの副社長なのだ。
将来は社長でもある。
そんな人のお母様が、付き合っていると息子に紹介された恋人の素性を詮索したくなるのは当然のこと。
それなりの家柄の相手以外を受け付けたくない気持ちはわかる。
そしてなによりも私の胸を締めつけているのは、偽った自分でお母様に紹介されたことだった。
取り返しのつかないことをしてしまった気がしてならない。
不安いっぱいに京介さんを見上げると、心配することはないといったふうに笑った。