溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛
「はぁ、これだから娘は持ちたくないんだよ。冷たいことばっかり言うんだからなぁ」
お父さんはかなり大袈裟にため息を吐いた。
首まで横に振って、やれやれといった感じだ。
「お父さんこそ、ひどい言い方じゃない」
娘はいらないみたいな。
さすがにそれは言い過ぎじゃないか。
「はいはい、帰って早々ケンカなんかしないの」
麦茶をのせたトレーを持って、お母さんが座敷に現れる。
「ケンカじゃないぞ。事実を言ったまでだ」
「私もそうだよ。お客さん、だーれもいないから」
お父さんとふたり、べーっと舌を出し合った。
さすがにおとなげないとは思ったものの、売り言葉に買い言葉だった。
「もう、ほんとにふたりともしょうがないんだから」
お母さんは呆れながら私の前に麦茶の入ったグラスを置いた。