溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛
◇◇◇
「ナオミさんじゃない?」
そう声を掛けられたのは、実家から帰る途中の乗換駅でのことだった。
ホームで電車待ちをしていた私は、考え事をしていたこともあって、長いこと無視してしまったらしい。
「ナオミさんでしょう?」
ふと我に返った。
――ナオミ?
私のこと……?
判断がつかないまま、声の主の方へ顔を向ける。
するとそこには、ジーパンにシャツ姿の女性が立っていた。
……誰だろう。
しばらく見つめ合う私たち。
「京介の叔母よ」
「――え!?」
思わず突飛な声が出た。
着物姿の涼子さんしか知らない私には、まったくの別人に見えたからだ。
いつもおとなしめのまとめ髪の彼女は、今日はポニーテールをして快活な印象だった。
「いつもと違ってわからなかった?」