溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛
「ほら、京介の母親に挨拶でもって」
「……あ、いえ……」
「ちょっとした試練だったでしょう?」
思わず素直に頷いてしまってから、慌てて「違うんです」と取り消した。
本音を言えば、今思い出してもドキドキしてしまうくらい恐ろしかった。
「キツイことを言う人なんだけど、芹川家のことを思ってのことだから悪く思わないであげてね」
「はい、それはわかっています」
「きっとナオミさんなら、すぐに気に入ってもらえると思うけどね」
涼子さんのその言葉には、愛想笑いしか返せない。
本当のことを京介さんのお母様が知ったらと思うと、考えるのも怖い。
気に入ってもらえる楽観的要素は、私になにひとつないのだ。
「そんなに落ち込まないで。大丈夫だから。ね?」
涼子さんは私の肩をポンとひと叩きした。
「今日、お店はお休みなんですか?」
今日は土曜日だ。
飲食業なら休みということはないだろう。