溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛

◇◇◇

出勤して早々だった。
岸本部長に「上川さん」と呼ばれ、デスクへと向かう。


「急で申し訳ないんですが、今日、副社長に同行して展示会へ行っていただけませんか?」

「……はい? 私が、ですか?」


聞き返すと、部長は「ええ」と大きく頷いた。


「ですが、それなら秘書が……」


二人も専属秘書がいるのに、どうしてそれを差し置いて私が。


「柳川さんはご実家で不幸ができてしまったそうで、宮原さんは体調不良で休んでいるそうなんです」


二人とも急きょ欠席したということらしい。
でも、だからといって、私が秘書代行なんか務まるはずがない。
しかも昨日の今日だ。
どんな顔をして会えばいいのか。


「秘書室のほかの方にお願いできないんですか?」

「それが、それぞれ予定が入っているようで……。それで、うちに要請がきたんです」

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