溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛
「『もう会うな』と言われたんだよね?」
京介さんの指先が頬に触れる。
私が頷くと、彼は抱きしめてくれた。
壊れるんじゃないかと思うほどきつく抱かれて、それでようやく立っていられるような気がした。
そうでなければ、この場に蹲ってしまっただろう。
「……怒っていないんですか?」
あんなにひどいことをしたのに。
全部、嘘だったのに。
「怒ってる」
驚くほどに声のトーンが下がった。
当たり前の返答が胸に深く突き刺さる。
彼を最低のやり方でひどく傷つけた。
それなのに、そんな答えとは裏腹に彼の手は私の髪を優しく撫でる。
「でも、それ以上に美緒奈がここにいることが嬉しい」
京介さんの想いが嬉しくて、胸が熱くなった。
罵られても当然のことをした私を、こんなにも大きな心で受け入れてくれようとしている。
でもそこで、重大なことを思い出してしまった。
亜樹の存在だ。
京介さんは、彼女と結婚するのだ。