溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛
掴んだ彼の手に力が込められる。
「“ナオミ”が相手じゃないのなら、誰と結婚しても同じだと思ったから。彼女には申し訳ないけど、誰でもよかったんだ。でも、その話は、なくなった」
言葉の意味が理解できなかった。
「今回の話はなかったことにと、彼女から申し入れがあったんだ」
亜樹から……?
嘘。どうして?
この前、私が亜樹に会いに行ったときには、そんな様子は微塵も感じられなかったのに。
あの時のことを思い返してみても、彼女に断る素振りはまったく見られなかった。
私と話したことで、ホッとしたようにも見えたくらいだ。
「信じられない?」
「……混乱しています」
正直なところだった。
亜樹との結婚がなくなったのは嬉しい。
でも、亜樹が傷ついたのも事実。
素直に喜べなかった。
「母には、美緒奈を諦めさせるつもりなら、社長は継がないと啖呵を切って来た」
「え……そんな無茶苦茶な……」