溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛
「俺はひとりっ子だから、それで困るのは両親だからね」
なにかを企むような笑みが零れる。
「それじゃ……」
「反対は絶対にできない」
それを見越して言うとは。
「ですけど、私、京介さんのお母様にはかなり嫌われていますから……」
大きな啖呵を彼が切ったとしても、『それとこれとは話が別!』なんて一蹴されやしないか。
嘘を吐いていたことで、私の信用は地よりも低い。
「それなら、今から好かれればいい」
そんなに簡単にいくことじゃない。
眉をひそめていると、京介さんが私の両頬を抓った。
「そんなに心配することはないよ。まぁ確かに、手強い面もあるけどね」
私を安心させようと、京介さんが精一杯優しい笑みを浮かべる。
その笑顔を見ているうちに、気持ちに変化が訪れる。
なにからなにまで嘘だった私を受け入れてくれた京介さんに、私ができることは、もうほかにはない。
お母様に認めてもらうこと。
それを達成させることで返したい。
嘘を吐いて京介さんを傷つけた代償というには、遠く及ばないかもしれない。
それでもやるしかない。
頼りなくも強い決意を奮い立たせたのだった。