溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛
「……ごめん。でも、結婚すると思っていたから」
「そのつもりだったんだけどねー」
亜樹が身体ごと首を傾げながら言う。
「何度か副社長とふたりで食事に行ったんだけど、副社長はいつだってうわの空。私が話していることの半分も聞いてなかったの。ぜーんぜん笑わないし。親が選んだ相手でも、副社長みたいな人だったら万々歳って思っていたけど、いくらなんでもこれはないなーって」
あまりにもあっけらかんと亜樹が話すものだから、拍子抜けしてしまった。
もっと重い話になることを予想していたからだ。
「お金持ちならいいとは思っているけど、さすがにお人形さんでは嫌だから」
にっこりと微笑みながら、亜樹はコーヒーを口にした。
「だから、お断りしたの。美緒奈のためを思ってとかじゃないから、余計な心配はしなくていいからね」
私を気づかってくれていることはわかっていた。
そうじゃなかったら、亜樹だって私を避けて悩んだりしなかったはずだ。